みなさんは、「お寺」って聞くとどんなイメージでしょうか?
お寺のイメージは、祖母、祖父、そして親戚のお葬式と法事ではないでしょうか?
つまり、お寺とは「日常から一番遠い存在」だと思います。神前式の「晴れの日」の結婚式とは、ちょうど真逆な暗いイメージではないでしょうか。
今、お寺の存続が危機的な状況です。
佐賀県のあるお寺が、檀家数の減少で深刻な跡継ぎ問題を抱えていました。幸いなことにお寺の跡継ぎ問題は、住職の息子さんが東京から仕事を辞めてお坊さんの修行を行う事で一旦は解決しました。ただ新たな課題が生まれていました。
それは、跡継ぎ息子のお嫁さん探しでした。
マッチングアプリ、ネット型結婚相談所で婚活するとプロフィール映えの良いスペックが重視されます。確かにお寺が抱える「お葬式の暗いイメージ」は、跡継ぎが婚活する上では確かにマイナスです。
実は、お寺の跡継ぎの婚活問題は、親子の意思疎通の問題から生じる「ボタンのかけ違い」が主な原因です。
親子だから「話さなくとも、わかるだろう」という日本人特有の空気の問題です。
本ブログでは、お寺の置かれた環境と跡継ぎ問題の原因を紹介していきます。
目次
1.経済的事情:お寺の将来性は大丈夫か?
2.親子だからの問題:ボタンのかけ違い
3.まとめ:跡継ぎ問題は第3者視点が解決する
経済的事情:お寺の将来性は大丈夫か?
親子でボタンのかけ違いが生じる理由の一つは経済的な問題です。本章では経済的な理由について説明します。問題の理由は大きく2つです。檀家減少による経済的理由住職の高齢化と後継者問題です。それぞれ詳しく説明していきます。
檀家数の減少による経済的理由
最初にお寺の経済的な理由から分析してみたいと思います。お寺は歴史的に複数の檀家によって支えられてきました。この檀家のベースとなる考えが「家」という考え方です。日本における仏教のさまざまな宗派は、地方自治と合わせて地域社会の基盤でした。今、少子化や核家族化、過疎化、宗教離れによって檀家が減少しています。
つまりお寺の経済基盤が先細りしているのです。一方で建物の維持費や運営費は年々高くなり、檀家の減少により檀家一軒あたりの負担も増えています。
その結果、お布施などの高い費用面から、さらにお寺離れが加速する悪循環に陥っています。
住職の高齢化と後継者問題
家制度が機能していた昭和の初期は、お寺は世襲制で長男がお寺を継ぐのが一般的でした。しかし昭和47年の家制度の廃止により、兄弟の誰が継いでも良い時代になりました。宗派によっては女性の住職が認められています。一方で少子化・核家族化の進展により、跡継ぎ候補の子供の数そのものが少ない状況にあります。
家制度の廃止により長男の義務がないため、僧侶の道を選ばない。
自分の人生優先で、一般企業に就職するケースも増えてきています。
なぜなら僧侶になるには、厳しい修行が必要で資格取得のハードルが高いのに対してメリットが少ないからです。
結果、お寺の住職の高齢化が進行しているのです。
<結論>
本章では大きく2つの理由を説明しました。
一つ目は、経済的な理由によるお寺の将来性の問題。2つ目は家族の制度や価値観の変化によるお寺の跡継ぎを回避する傾向。
この2つの問題に加えて親子の意識のズレがあると私は考えています。ではこの状況を引き起こす親子の対立を説明していきます。
「親子だから」の問題:ボタンのかけ違い
お坊さんの子供だから職業選択の自由はないの?
結婚を意識し出す年代の、お寺の住職である親と跡継ぎ候補の息子と娘。
お寺は、単なる宗教施設ではなく、地域の文化・歴史・コミュニティの中心としての機能があります。住職の配偶者(おかみさん)は、住職を支える役割を両親と親戚、檀家から期待されてきました。そのため、お寺の跡継ぎの結婚相手に求める条件が違うため、おのずと結婚相手を探す婚活媒体は変わってきます。事業承継の親族内承継が前提なのです。
ところが、子供側は純粋に人生のパートナーとして好きな結婚相手を選びたい。
親側はお相手にお寺の役目を果たせる相手を選んで欲しい。
一方でお寺は、不動産などの資産を持っておりM&Aを含めて事業承継ビジネスの対象のため、親の意思を反映した結婚相手を探す支援は複数サービス存在します。
そこで親子で対立が発生するのです。
最初の「ボタンのかけ違い」は収束することはありません。
親世代の考え
「継ぐのが当たり前」
「地域の伝統を守って欲しい」
「檀家が心配している」
親世代は、先祖代々受け継がれてきた「家業」としてのお寺を継ぐのが当たり前と考えがちです。地域と檀家の関係から日本人特有の集団としての役目を暗黙的にはたす義務を考えています。そのため、親達は、子供がこどもの時から常にプレッシャーを与え続けてしまいます。
子供世代の考え
「経済的に跡を継いで大丈夫か?」
「自分は結婚できるか?」
「檀家のために自分の生活を犠牲にするのか?」
子供世代は、大学進学をきっかけに故郷を離れて都会で学び、働いている人も多くいです。そして就職をして恋愛をして生活基盤を確立している。また一般企業にてキャリアを積んでいるケースもあるでしょう。
その中で檀家のために、自己犠牲で経済的な先行き不透明なお寺を継ぐのは勇気が入ります。特に都会での交際相手への説明は難しいと考えがちです。
子供世代では結婚相手の跡継ぎ問題への関心は高いです。
なぜなら自分も同じ跡継ぎ問題を継承してしまうからです。
<結論>
意識の違い、ボタンのかけ違いの原因を紹介してきました。
現在の日本の親子で「お寺の跡継ぎ」に関して、お寺や檀家の将来について話をしているケースは少ないのではないでしょうか?
そして親世代でも父親と母親では、子供がお寺を継ぐことへの考え方が違います。
母親は若い時の檀家や親戚からの嫌な思い出もあるでしょうから、子供の味方になるケースもあります。
子供の意見に理解を示す母親と社会的な立場を主張する父親。
夫婦間の問題も抱えています。
まとめ
お寺の跡継ぎ問題の一つは、経済的な問題であるお寺を支える檀家の減少であることを紹介しました。2つ目の問題は、親世代と子供世代のお寺という家業に関する考え方の変化です。
経済的な事情と親子の意識のズレは、親子の対話で解決するでしょうか?
私の意見は当事者間での解決は困難だと思います。
親子の感情的な対立は、特に「こじれる」と収拾がつきません。
解決策の一つが、第3者のアドバイスです。
昭和の初期は、親戚の叔父さんが親子の対立を解決したということはあったでしょう。
しかし現在のお寺の跡継ぎ問題が、経済的な課題がある以上は専門家のアドバイスが必要となってきます。そのため銀行やM&A会社の事業承継とセットになった親視点での婚活サービスがあります。
また子供視点では、結婚相手を探す結婚相談所があります。
お寺の将来性と人間的な感情を同時に考えないといけない。
最初のボタンのかけ違いが起こる前に、まずは事業承継の婚活を主にする専門サービスに相談しましょう。
<著者紹介>
中山孝幸
・事業承継結婚®︎アドバイザー
・ファミリービジネスアドバイザー協会
バブル世代で、商社、日本半導体メーカー、ドイツ半導体メーカーのグローバルアカウントマネージャーを経て、結婚相談所を開業。日本の少子高齢化問題、事業承継問題を中心とした問題意識を持っている。夜学の社会人大学院でMBA・経済学博士を最短で取得。入社2年目から全国トップセールスマンを始め多くの賞を受賞。結婚相談所では、僅か2ヶ月で男性を成婚まで導く実績がある。
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